彼女からチョコの作り方を教わった。
どうしてもホワイトデーには手作りのチョコを彼女にあげたかった。
男が手作りなんておかしいだろうか。
でも、僕の愛を表現するにはこれが一番だと思った。
しかし、作り方がわからない。
いままでお菓子なんて作ったことなかったから。
だからその作り方を彼女に聞いた。
そしたら、呆れたように笑われてしまった。
「これじゃあ、本末転倒で意味ないじゃない。私が自分で自分にチョコを
贈るようなものだよ」
て。
でもその笑顔は暖かくて、優しいものだった。
僕は嬉しい。なぜならこのことによって、彼女との共同作業ができるからだ。
たくさんのことを共有したい。
色々なことを一緒に体験したい。
そうやって思い出を増やしていきたい。
未来のことはわからないから。
ずっと一緒にいたいけれど、先のことは誰にもわからない。
いま隣でこうして微笑んで僕を癒しているこの女性と、いつか
さようならをする時がくるだろう。
出会いがあれば、別れは必ずくる。
死別か離別かは、わからないけれど。
彼女は僕がこんなこと思いながら付き合っていると知ったら、どうするのだろうか。
あまりにも夢のない考え方に、怒るかもしれない。
でも、だからこそ、僕は、一緒にいる間に、楽しいことをたくさんして綺麗な思い出を与えたい。
今までたくさんの人と出会って、別れて、付き合ってを繰り返してきた。
別れてから日が浅いうちは、悲しみに暮れるか、ムカつくかのどちらかだけど
しばらくたてば、それはなくなりただの思い出だけが残る。
そのときに、僕とのことを思い出しても胸が痛くならないように。悲しまなくて済むように。
こんなこともあったな。なんだかんだで楽しかったな。てそう思ってくれるように。
僕と別れたあとも、幸せでいてくれますように。